
第二話はこちら
86:名無しの歴史部員 2017/08/10(木)21:50:13 ID: ID:3gs
(*^◯^*)「~♪」
同期生「あ、マリアン君。ちょっとちょっと」
(*^◯^*)「同期生君? 僕に何か用があるんだ?」
同期生「さっき、クリゴフスキ教授に、マリアン君を呼ぶように言われたんだよ」
(*^◯^*)「え、どうして? 要件はなんなんだ?」
同期生「うーん、そこらへんは聞いてなかったなぁ。ごめんね」
(*^◯^*)「しゃーねーんだ! 伝言ありがとうなんだ!」
89:名無しの歴史部員 2017/08/10(木)21:55:11 ID: ID:3gs
教授「やあ、レイェフスキ君。来てくれてありがとう。とりあえずその椅子に座ってくれ」
(*^◯^*)「ありがとうございます」
――――
(*^◯^*)「ところで、教授。なぜ、私は呼び出されたのでしょう?」
教授「うん……そのことだがね」
教授「実は、この大学で、暗号解読に関する講座が開かれることになってね」
教授「レイェフスキ君、その講座に参加してみないか?」
(*^◯^*)「暗号解読……ですか?」
90:名無しの歴史部員 2017/08/10(木)22:00:29 ID: ID:3gs
教授「話せば長くなるのだがね……ポーランドの存亡に関わることというか」
(*^◯^*)「ポーランドの存亡? どういうことですか?」
教授「先の大戦で、ドイツ軍が敗北したのは、周知の通りだろう。我々が今いる「ポズナン」も奴らの敗戦を機にポーランド領となった地だ」
教授「ドイツ軍の敗因、その一つに、自軍の情報が筒抜けだったことが挙げられるそうだ」
教授「つまり、戦前も戦後もドイツの暗号は問題なく解読できていたということさ。連合国の優秀な暗号解読者によってね」
教授「ところが、1926年のある日を境に、解読できない暗号が出てきはじめたそうだ」
教授「その量は日に日に増え、とうとう送信される暗号のほとんどが解読できないという状況に……」
91:名無しの歴史部員 2017/08/10(木)22:05:57 ID: ID:3gs
教授「だが、頻度分析、総当たり攻撃、線形解読法、差分攻撃法……そのどれもがまるで通用しなかったようだ」
教授「また、ドイツは今や瀕死の状態だ。そんな敵国に対して、逼迫感など無いのだろう。解読にそこまで力を入れていないらしい」
教授「ところが、ポーランドはそういうわけにいかない。我が国は独立したばかりで不安定だ」
教授「これにつけ込み、隣国ドイツが侵攻しないとも限らない。不可侵条約を結んでいるが……まあ、相手がドイツではあてにならないだろう」
教授「ポーランドはドイツの情報を常に確保しておく必要がある。いつ寝首をかかれても、対応できるようにね」
(*^◯^*)「なるほど……」
92:名無しの歴史部員 2017/08/10(木)22:10:19 ID: ID:3gs
教授「そういうことだね。もっとも開講したのは、軍の暗号局であって私ではないが」
教授「『数学理論に長けた者を求む』と向こうから要望があったので、こうして数学科の成績優秀者を推薦しているというわけさ」
(*^◯^*)「そういう事情なら、わかりました。ポーランドの力となるのであれば、喜んで参加します!」
教授「色よい返事をしてもらってなによりだ。ではよろしく頼むよ」
94:名無しの歴史部員 2017/08/10(木)22:13:55 ID: ID:WnZ
しかし何故解読不可能な暗号を作成できるだけでこれほど有利に戦闘を進められるのか
そこがよくわからない
ワイがアホだからか
95:名無しの歴史部員 2017/08/10(木)22:15:17 ID: ID:Wz1
解読されたら不利やん
97:名無しの歴史部員 2017/08/10(木)22:17:15 ID: ID:Sca
8月11日に大規模攻撃するぞ!
8月に大規模攻撃するぞ!
11日に大規模攻撃するぞ!
大規模攻撃するぞ!
攻撃するぞ!
これが何一つわからんといつ攻撃来るか気を張らんといかんやん?
兵がいっぱいいても攻撃するふりで本命は別かもしれないとか疑心暗鬼になるんやろ
99:名無しの歴史部員 2017/08/10(木)22:22:37 ID: ID:Jup
どの球種をどのコースに投げるかわかってるのと
どんな球種を持ってるかも知らないのだとヒット打てる確率かわるやろ
96:名無しの歴史部員 2017/08/10(木)22:15:20 ID: ID:3gs
(*^◯^*)「あっという間に、一日目の講座なんだ」
(●△●)「あ、レイェフスキ君! こんにちは」
(*^◯^*)「あ、ジガルスキ君なんだ! 君も参加してたんだ?」
(●△●)「うん。教授に呼び出されてね、「参加してみないか?」って。レイェフスキ君も?」
(*^◯^*)「全く同じなんだ。一緒に頑張ろうなんだ!」
(●△●)「うん、頑張ろうね」
(●△●)「ところでさぁ、なぜ数学科でこんな講座を開くのかなぁ」
(*^◯^*)「どういうことなんだ?」
(●△●)「暗号解読っていうのは、本来は言語学者や古典学者の仕事なんだよ。僕たちはそうした分野に携わってないのにね……」
(*^◯^*)「お偉いさんの考えることはわからねえんだ。たぶん、数学の力が暗号解読に有効だと判断したからなんだ」
(●△●)「数学がねぇ……」
98:名無しの歴史部員 2017/08/10(木)22:20:50 ID: ID:3gs
(*^◯^*)「なんで、この大学で開講するんだ? ここよりも、数学の研究が進んでるところはあるはずなんだ」
(●△●)「教授が言うには、ドイツ語を使える生徒が多いかららしいよ」
(●△●)「戦前、ここら一帯はドイツに占領されていただけあって、皆ペラペラだしね」
(*^◯^*)「なるほど……合点したんだ」
講師「はい、本日はこの講座に集まっていただきありがとうございます。私は……」
(*^◯^*)「あ、授業が始まるんだ」
(●△●)「おっとおっと、お話もここまでみたいだね」
101:名無しの歴史部員 2017/08/10(木)22:25:37 ID: ID:3gs
暗号局員1「……というわけで、講座の全てが終了しました」
暗号局員2「成果はどうだった?」
暗号局員1「20人のうち、この講座を修了した者は、3人いました」
('ω`) イェジ・ルジェツキ
(●△●) ヘンリク・ジガルスキ
(*^◯^*) マリアン・レイェフスキ
三年後、ポーランドの暗号局『ビュロ・シフルフ』はこの三人を正式に採用した
102:名無しの歴史部員 2017/08/10(木)22:31:12 ID: ID:3gs
( ・`ω・´)「さて、では君たちの名前を聞こうか」
(*^◯^*)「きょ、今日、入局することになりました、マリアン・レイェフスキです」
(●△●)「同じく、ヘンリク・ジガルスキです」
( ・`ω・´)「君たちがあのポズナン大学から来た数学者だな?」
( ・`ω・´)「私は、局長のグヴィド・ランゲル。階級は少佐だ」
( ・`ω・´)「さて、では君たちが相手にする暗号を見てもらおうか。こちらだ」
(*^◯^*)「これは……」
(●△●)「なんの機械でしょうか?」
( ・`ω・´)「これはドイツ軍が使っている『エニグマ』という暗号機、ギリシャ語で『謎』を意味するそうだ」
( ・`ω・´)「文字通りの難解さだよ……。未だに解読方法は確立していない」
(*^◯^*)「見た目はただのタイプライターですが……」
( ・`ω・´)「そうなんだ。サイズも非常にコンパクトで、持ち運びできるほどだ」
( ・`ω・´)「だが、この小さなボディに内包されるは、1京にも及ぶ膨大な数の組み合わせなのだよ」
(*^◯^*)「……なるほど。数学者が呼び出されるわけですね」
( ・`ω・´)「『膨大な数』なんてものは、数学者にとっては見慣れたものだろう。その扱い方も、言語学者より深く理解しているはずだ」
(●△●)「それが数学者を採用した理由ですか……適材適所と言えばそうかもしれませんね」
( ・`ω・´)「……さて。では、さっそく、局内の案内をしよう。これは、暗号化されたメッセージを受け取る受信機で――」
この日より、レイェフスキたちはエニグマ解読に挑むこととなる
103:名無しの歴史部員 2017/08/10(木)22:31:49 ID: ID:Sca
104:名無しの歴史部員 2017/08/10(木)22:33:17 ID: ID:6bZ
107:名無しの歴史部員 2017/08/10(木)22:38:54 ID: ID:3gs
>>104
これについては進行上少し脚色しとるところがあるで
補足で説明するわ
105:名無しの歴史部員 2017/08/10(木)22:36:58 ID: ID:3gs
一方、ドイツ軍では……
部下「チクペーン中将。少し、お話の時間をとっていただけないでしょうか」
(●゚◇゚●)「うん? どうした?」
部下「いえ、暗号局の連中にせがまれましてね。今のエニグマの運用状況について聞きたいと申しておりました」
部下「例えば、『鍵』はどのように扱っているか……など」
(●゚◇゚●)「運用状況か……。現在、エニグマは一日に一回『鍵』を変えている。我々はこれを『日鍵』と読んでいるがな」
(●゚◇゚●)「そして、オペレータ全員に一月分の『日鍵表』を渡している。これで、その日の日鍵に合わせ、メッセージを複文するというわけだ」
(●゚◇゚●)「今日の日鍵は……これだったらしいな」ペラ
ローターの初期設定 H-Q-M
ローターの配置 3-1-2
プラグボードの配線 A-M、C-P、F-O、J-K、N-Q、R-S
部下「なるほど……」
(●゚◇゚●)「もしかして、『日鍵表』が敵に奪われるのを心配しているのか?」
(●゚◇゚●)「それなら大丈夫だ。兵士は皆、敵に襲撃されたとき『日鍵表』を処分するよう、徹底的に訓練を受けている」
部下「いえ、暗号局の懸念はどうやら別のところにあるようです」
108:名無しの歴史部員 2017/08/10(木)22:40:59 ID: ID:3gs
部下「例えば、暗号文の1288文字目に『T』があるとします。これを複文するには1288回目のタイピングで『T』を打たなくてはなりません」
部下「ところが、それより前に打ち損じてしまうと、1288回目のタイピングで別の文字を打つことになり、その先の文が滅茶苦茶になってしまいます」
部下「修正するには、最初から打ち直すほかありません。情報の伝達スピードが何よりも優先される戦場において、こうした時間のロスは致命的です」
部下「そして、二つ目の問題点は、解読されるリスクが高いことです」
(●゚◇゚●)「……どういうことだ?」
部下「このエニグマが一日あたりに送信する文字数は、恐らく5~7万字程度か……戦争に突入すれば何十万という数に上るでしょう」
部下「それだけの文字を分析されると、規則めいたものを発見されたとしても不思議ではありません」
部下「エニグマは確かに強力な暗号機ですが……過信してはなりません。さもなくば、ADFGVX暗号の二の舞を踏むことになります」
(;●゚◇゚●)「……ああ。そのとおりだな」
109:名無しの歴史部員 2017/08/10(木)22:42:45 ID: ID:rmR
面倒杉内
111:名無しの歴史部員 2017/08/10(木)22:45:21 ID: ID:3gs
(●゚◇゚●)「本当か!? なんだ、その解決策とやらは?」
部下「はい、まずは『日鍵』のことなのですが――」
――――――
(*^◯^*)「~♪」
(●△●)(入局から、ずいぶん経つけど、まだ解読できないなぁ)
(●△●)(彼はご機嫌だけど、解読につながるものでも見つけたのかな?)
(●△●)「レイェフェスキ君、なにか、わかった?」
(*^◯^*)「さっぱりなんだ!」
(;●△●)「そ、そう……」
(*^◯^*)「うーん、こりゃただじっと見つめても解読できねえと思うんだ」
(*^◯^*)「やっぱり注目すべきはここなんだ!」
(●△●)「……だね」
OQWNEA JVWOLA NQSJEW OUYNTM ……
たびたび送信される『6文字』だけの暗号文
レイェフスキ達は、この6文字の暗号文を全て書き留めていた
彼らは、暗号解読の肝はここにあると踏んでいたのだ
113:名無しの歴史部員 2017/08/10(木)22:50:11 ID: ID:3gs
(*^◯^*)「僕も考えたけど、戦争に突入してるわけでもないのに、機体の名前がポンポン出るのは不自然だと思うんだ」
(●△●)「うーん、固有名詞の線は薄いかな。もしかして、全部同じ単語だったりして」
(*^◯^*)「さすがにドイツ軍がそこまで愚かだとは思えねえんだ。『反復は機密保護の敵』なんて奴らも重々承知のはずなんだ」
(●△●)「せめて、何らかの共通性が見つかればいいんだけどなぁ」
(*^◯^*)「共通性……」
OQWNEA JVWOLA NQSJEW OUYNTM ……
(*^◯^*)
(*^◯^*)「……!」
114:名無しの歴史部員 2017/08/10(木)22:55:11 ID: ID:3gs
(●△●)「ん? なにが?」
(*^◯^*)「1文字目がOの時、4文字目はNになるんだ!」
(*^◯^*)「これは、6文字暗号に限って言えば、全て同じなんだ! 1文字目がOなら、4文字目は絶対にNになるんだ!」
(●△●)「OQWNEA、OUYNTM……ホントだ!」
(*^◯^*)「あと、これだけじゃねえんだ。1文字目がJなら4文字目はOになるし、1文字目がNなら4文字目はJになるんだ!」
(●△●)「この呼応関係は、どうやら全てのアルファベットにあるみたいだね……」
115:名無しの歴史部員 2017/08/10(木)23:00:10 ID: ID:3gs
(*^◯^*)「OQWNEAとNQSJEWを見てみるんだ! 2文字目がQだと、5文字目がEになってるんだ!」
(●△●)「ということは、呼応関係は2文字目と5文字目の間にもあるってこと?」
(*^◯^*)「その通りなんだ。この調子で行くなら、3文字目と6文字目にもこの関係はあるはずなんだ!」
まず、レイェフスキは、1文字目と4文字目 2文字目と5文字目 3文字目と6文字目の間につながりを見出した
これは、エニグマ暗号機に潜んでいたわずかな隙
そして、解読不能神話の決壊へとつながる小さなひび割れだった
117:名無しの歴史部員 2017/08/10(木)23:05:38 ID: ID:3gs
レイェフスキ編は次で完結するやろ(適当)
補足
話の都合上省いているが、本当はこの時点でエニグマは手に入っていない
フランスがドイツの内通者からエニグマに関する情報を得る
↓
その情報をポーランドに渡す
↓
それを元にして、レイェフスキが配線を復元
↓
エニグマのコピー器を作成
というのが正しい
118:名無しの歴史部員 2017/08/10(木)23:07:11 ID: ID:6bZ
最初からローター数とプラグ数を多めにしてたらもう少し手こずったんじゃない(適当)
119:名無しの歴史部員 2017/08/10(木)23:07:19 ID: ID:Sca
128:名無しの歴史部員 2017/08/13(日)21:22:30 ID: ID:msU
(●゚◇゚●)「『日鍵』で新たな鍵を送信する?」
部下「そうです。これにより、エニグマの安全性はさらに高まります」
(●゚◇゚●)「理解が追いつかないな。一から説明してもらおうか」
部下「はい。2つの問題点の元を辿れば、膨大なメッセージを1つの鍵で暗号化していることにあります」
部下「それならば、そのメッセージを分割し、それぞれに異なる鍵を割り振ればよいのです」
129:名無しの歴史部員 2017/08/13(日)21:27:18 ID: ID:msU
部下「こうすれば、一つの鍵に対する文字の量をうんと減らせます。恐らく、数百字程度に収まるはずです」
部下「ということは、打ち損じたときに再入力する文字の量も、分析される文字の量も減らせるということです。解読難度も跳ね上がることでしょう」
部下「そして『日鍵』の使用を、メッセージ鍵の送信の時のみに限定すれば、日鍵自体も解読されにくくなります」
部下「今まで、日鍵で何万字と打っていたわけですが、千単位に落ち着くと思いますよ」
130:名無しの歴史部員 2017/08/13(日)21:32:24 ID: ID:msU
(●゚◇゚●)「ああ、わかった」
部下「『日鍵』は今日使ったものを用いましょうか」
部下「まず、送信者は『メッセージ鍵』を適当に決めます。ただし、決めるのはローター設定だけで、他は『日鍵』と同じにします」
部下「『メッセージ鍵』は一日に何百回と変更するわけですからね……プラグボードの配線まで変えるのは手間です」
部下「ひとまず、『メッセージ鍵』はZ-X-Cとしましょう」
部下「次に、『メッセージ鍵』を2つ並べたものを『日鍵』で暗号化し、送信します」
部下「『ZXCZXC』を日鍵で変換したら……『YAAEYQ』になりますね」カシャカシャ
部下「あとはローター設定をZ-X-Cに直して、メッセージを打ち込めばいいだけです」
131:名無しの歴史部員 2017/08/13(日)21:35:56 ID: ID:msU
(●゚◇゚●)「ふむふむ」カチカチ
部下「そして、受信した『YAAEYQ』を入力すれば……」
(●゚◇゚●)「おお、ちゃんと『ZXCZXC』に複文されたな」カシャカシャ
部下「『メッセージ鍵』を2つ並べる理由はここにあります。複文の正否がわかりやすいこと。仮に受信者がタイプミスしたとしても、すぐに気づけることです」
(●゚◇゚●)「そうか……。仮にタイプミスで『ZXC』が『ZXV』となっても受信者は気づかないだろうが……」
(●゚◇゚●)「『ZXCZXC』が『ZXEZXV』となっていたら気づくはずだな。事前に、同じ文字列が2つ並ぶと知らされているのだから」
部下「仰る通りです」
132:名無しの歴史部員 2017/08/13(日)21:40:11 ID: ID:msU
部下「まとめるとこうですね」
送信者側の暗号化手順
[1] 『メッセージ鍵』となるローター設定を適当に決める
[2] 設定を日鍵に合わせ、『メッセージ鍵』を2つ並べた文字列を暗号化する
[3] 設定を『メッセージ鍵』に合わせ、メッセージを打ち込む
受信者側の複文手順
[1] 6文字暗号を受信したら、設定を日鍵に合わせる
[2] 6文字暗号を複文し、そこに書かれているローター設定(メッセージ鍵)に合わせる
[3] 次の6文字暗号を受信するまで、その設定で複文を進める
(●゚◇゚●)「うむ、だいたい理解した。しかし、こう一手間加えるだけで、解読が難しくなるのか。暗号というのは奥が深いな」
部下「一つの小さな発見やアイデアが、その機密性をより強固にしたり、脆弱にしたりする……そういった世界ですからね」
――
(*^◯^*)「『日鍵』と『メッセージ鍵』か……ドイツ軍も考えたものなんだ」
ビュレ・シフルフは、フランスから受け取った情報によって、このシステムの存在を知った
(●△●)「呼応関係が生じた理由もこれで説明出来るね。1文字目と4文字目、2文字目と5文字目、3文字目と6文字目が同じだったからか」
134:名無しの歴史部員 2017/08/13(日)21:45:11 ID: ID:msU
(●△●)「とりあえず、1文字目と4文字目の対応を表にしてみたよ」
※便宜上、この表を1-4表と呼ぶ。画像にはないが、2-5表、3-6表もある
(●△●)「関係を割り出せても、そこから先が手詰まりだね。恐らく、この表から発想を飛躍させないと解読にたどり着かないんだろう」
(*^◯^*)「発想の飛躍……」
135:名無しの歴史部員 2017/08/13(日)21:49:43 ID: ID:msU
(*^◯^*)「さっぱりなんだ。頭が痛くなるんだ……」
(●△●)「しかも、一日ごとに表が変わるし、対応しきれないや……」
(*^◯^*)「うーん、こういうときは原点回帰。呼応関係を見つけ出した日を思い出してみるんだ」
(●△●)「レイェフスキ君が『1文字目がOの時、4文字目はNになるんだ!』って大喜びしてたときだね」
(*^◯^*)「『1文字目がJなら4文字目はOになるし、1文字目がNなら4文字目はJ』とも言っていたんだ」
(*^◯^*)「あれ?」
(*^◯^*)「1文字目がOなら、4文字目はN……」
(*^◯^*)「1文字目がNなら、4文字目はJ……」
(*^◯^*)「1文字目がJなら、4文字目はO……」
(●△●)「1文字目がOなら……はっ!」
(●△●)「ループしてる……?」
136:名無しの歴史部員 2017/08/13(日)21:54:11 ID: ID:z8O
137:名無しの歴史部員 2017/08/13(日)21:55:52 ID: ID:msU
(*^◯^*)「もしかしたら、他の文字でも、ループしているのかも……あの日の1-4表から、ループを探し出すんだ!」
(●△●)「了解! 表にまとめてみるよ!」
(*^◯^*)「調べてみたら、2-5表や3-6表にも、このループ構造はあるみたいなんだ。1-4表のものとは、全く違うけど」
(*^◯^*)「あと、別の日の1-4表でもループ表を作ってみたら、これもまた今日の1-4表で作ったやつと違うんだ」
(●△●)「一日ごとに変化する、か……。このループ構造は、日鍵によって変化すると見て間違いないね」
138:名無しの歴史部員 2017/08/13(日)22:01:27 ID: ID:msU
(*^◯^*)「それって、このループ表から、日鍵を求めることが出来るってことじゃ……」
(●△●)「え?」
(*^◯^*)「だって、それは『日鍵』と『ループ構造』が一対一で対応してるってことなんだ」
(*^◯^*)「ということは、『ループ構造』から『日鍵』を割り出せるはずなんだ!」
レイェフスキは日鍵特定の糸口を、このループ構造から見出した
犯罪現場の指紋からその犯人を特定するように……1つの『ループ構造』から『日鍵』を特定することも可能では、と考えたのだ
139:名無しの歴史部員 2017/08/13(日)22:04:32 ID: ID:msU
(;●△●)「まさか、それら全てを一つずつ検証していくつもりかい?」
(*^◯^*)「……」
(*^◯^*)「忘れてたんだ……んなもん検証しているうちに、宇宙が滅んでるんだ」
1京という数には、あらゆる総当たり攻撃を不可能にさせる並々ならない重みがあった
140:名無しの歴史部員 2017/08/13(日)22:06:40 ID: ID:z8O
142:名無しの歴史部員 2017/08/13(日)22:09:27 ID: ID:msU
(*^◯^*)「日鍵と対応する構造……解読において、こんなおいしい情報めったにないんだ」
(*^◯^*)「必ずあるはずなんだ。ループ構造から日鍵を特定する道が……」
(●△●)「プラグボードさえ何とかできればいいんだけどなぁ……プラグボードの配線だけでも約1000億通りだよ」
(*^◯^*)「その時点で、もう光が見えねえんだ……」
(*^◯^*)「でも、プラグボードが無かったとしたら、何通りなんだ?」
(●△●)「約10万通りだね。これぐらいだったら、人間の手で何とかなる範囲だけど」
(*^◯^*)「そう……」
143:名無しの歴史部員 2017/08/13(日)22:14:46 ID: ID:msU
(*^◯^*)(組み合わせの数が異常なだけで、エニグマを複雑化させているものはむしろローターなんだ)
(*^◯^*)(入れ替える? もしかして……)
(*^◯^*) ブチブチ
(●△●)「レイェフスキ君? プラグボードからプラグを抜いてどうするの?」
(*^◯^*)「ちょっとした、実験なんだ!」
146:名無しの歴史部員 2017/08/13(日)22:18:57 ID: ID:msU
(*^◯^*)「よし、ループが2つできたんだ。他にもあるけど、これ2つで実験するんだ」
A→U→F→H→K→W→A
B→N→M→B
(●△●)「6文字ループと3文字ループだね」
(*^◯^*)「次に、N-U F-M をプラグで繋ぐんだ」
(*^◯^*)「そして、再度、ループを調べてみると……」ガチャガチャ
A→N→M→H→K→W→A
B→U→F→B
(●△●)「あれ? プラグで結んだ文字が入れ替わっただけ?」
147:名無しの歴史部員 2017/08/13(日)22:25:20 ID: ID:msU
(*^◯^*)「つまり! 『ループ内の文字数』だけに着目すれば、プラグボードの配線は考えなくていいんだ!」
(*^◯^*)「よし! これで、ローターの配置と設定だけなら特定できるんだ!」
(*^◯^*)「さっそく、ループ構造とローター設定の対応表を作るんだ!」
(;●△●)「ちょ、ちょっと待って! ローター設定はそれでいいとして、プラグボードの配線はどうやって特定するの?」
(*^◯^*)「なんとかなるんだ!」
(;●△●)「はへ?」
(*^◯^*)「くわしくは、あとで説明するんだ! さっそく対応表づくりにかかるんだ!」
(;●△●)「ええ……」
ローター設定はA-A-AからZ-Z-Zまで
ローター配置は1-2-3から3-2-1まで
レイェフスキ達は、105456通りの初期設定における、ループ構造を全て調べ上げ、それを一覧にした
その作業量は並大抵のものではなく、この対応表の完成に1年を要した
148:名無しの歴史部員 2017/08/13(日)22:29:00 ID: ID:veE
作業自体は単純作業やから何人か雇って24時間体制でやればもっと短縮できそうやけど、その辺は機密保持とか解読班の検算的な部分で時間食ったんやろか
149:名無しの歴史部員 2017/08/13(日)22:29:14 ID: ID:z8O
150:名無しの歴史部員 2017/08/13(日)22:30:13 ID: ID:msU
(;*^◯^*)「やっと……やっと完成したんだ」
(;●△●)「長かった……長かったよ、レイェフスキ君……」
(;*^◯^*)「でも……この長さに見合う成果はあるはずなんだ」
(;*^◯^*)「じゃあ……さっそく、この対応表で解読を試みるんだ」
(;●△●)「そうだね……。まず、今日の暗号のループを調べてみよう」
(●△●)「まず、1-4表に、5文字ループが1つ、7文字ループが3つあったよ」
(*^◯^*)「1-4(5,7,7,7)……次は」
(●△●)「2-5表に、3文字ループが3つ。そして……」
(*^◯^*)「ふむふむ……」
(*^◯^*)「まとめると、こんな感じなんだ!」
1-4(5,7,7,7)
2-5(3,3,3,5,6,6)
3-6(3,5,9,9)
(*^◯^*)「このループ構造と対応する設定は……」ペラペラ
(*^◯^*)「あったんだ! ローター配置1-2-3 ローター設定H-D-Xなんだ!」
(●△●)「第一段階は攻略……だね。さっそく、その設定に直そう」
※このレス上のループ構造、およびそれによって求められたローター配置・設定は適当に選んだものなので正確でない
151:名無しの歴史部員 2017/08/13(日)22:35:51 ID: ID:msU
(●△●)「うん、レイェフスキ君のあの方法なら大丈夫だよ」
(*^◯^*)「ありがとうなんだ……さて――」ブチブチ
~~~~~
(●△●)「プラグを全部抜くだって?」
(*^◯^*)「そうなんだ。そして、日鍵で暗号化された文をかたっぱしから打ち込んでみるんだ」
※日鍵はメッセージ鍵を暗号化する時以外に使わないと前述したが
より速い情報伝達が求められる場所には、日鍵で暗号化したメッセージを送っていたと思われる
~~~~~
(*^◯^*)「これも違う……これも違う……」ガチャガチャ
(*^◯^*)「!」
(*^◯^*)「ジガルスキ君、これを見るんだ! プラグなしの状態で、複文したものなんだ!」
(●△●)「これは……」
152:名無しの歴史部員 2017/08/13(日)22:40:47 ID: ID:msU
(●△●)「でも、プラグボードがある以上、複文することは出来ないと思うんだけど……」
(*^◯^*)「考えてみるんだ。プラグボードの機能といえば、文字を入れ替えるだけなんだ」
(*^◯^*)「だから、ローターが正しい位置にあれば、意味の分かる箇所もちらほら出るはずなんだ」
~~~~~
BELRIN
(●△●)「これって……」
(*^◯^*)「恐らく、平文では『berlin』なんだ」
(*^◯^*)「つまり……『L』と『R』がプラグで繋がれていて、『B』『E』『I』『N』がプラグで繋がれていないことが分かるんだ」
(*^◯^*)「これを繰り返せば、プラグボードで繋がれている6組の文字が判明するんだ」
レイェフスキは1京通りの組み合わせに対して、馬鹿正直に突っ込むのではなく
プラグボードとローターに問題を分け、各個別々に解決する手法を取ったのだ
この手法によって、相手にすべき組み合わせを105456通りに圧縮し、厄介なプラグボードをほぼ無力化することに成功する
153:名無しの歴史部員 2017/08/13(日)22:45:18 ID: ID:msU
(*^◯^*)カシャカシャ
(●△●)「……」
(*^◯^*)「『BWEBWE』『ABCABC』『KUTKUT』『VERVER』……」
(*^◯^*)「6文字暗号全て……解読できるんだ……」
(●△●)
(●△●)「や……」
(●△●)「やったあああああああああああ! ホントにエニグマを解読したんだ!」
(*^◯^*)「やったんだ! これで、ドイツ軍の情報全てかっさらえるんだ!」
(*^◯^*)「アッハッハッハッハ! 笑いが止まらないんだ! やったぁ!」
1933年 ポーランドの暗号局がエニグマ解読に成功
難攻不落の暗号が、初めてその姿を露わにした瞬間であった
154:名無しの歴史部員 2017/08/13(日)22:46:10 ID: ID:msU
レイェフスキ編終わらなくてすまんな
155:名無しの歴史部員 2017/08/13(日)22:46:32 ID: ID:veE
続き楽しみにしてるで
156:名無しの歴史部員 2017/08/13(日)22:50:48 ID: ID:z8O
戦前に解読されとったんやな
157:名無しの歴史部員 2017/08/13(日)22:59:14 ID: ID:SXA
162:名無しの歴史部員 2017/08/14(月)21:13:46 ID: ID:O0o
ドイツがピエロなら大日本帝国は何なんですかね…
163:名無しの歴史部員 2017/08/14(月)21:15:19 ID: ID:Wow
安田大サーカスやろ(適当)
164:名無しの歴史部員 2017/08/14(月)21:22:10 ID: ID:3Uu
クロちゃん並のウソついて死にそう
158:名無しの歴史部員 2017/08/14(月)02:08:28 ID: ID:Sq7
敬意なく簡単に言えるんであって、発想と技術はやっぱりすごいやろうに
引用元:彡(゚)(゚)「エニグマ解読……?」



