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第四話はこちら


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名無しの歴史部員 2017/08/20(日)22:18:08 ID: ID:5XF

イギリス ブレッチリー・パーク 政府暗号学校



校長「……次は数学者か」

校長「まったく、面白い顔ぶれだな。言語学者、古典学者の採用はわかるが……」

校長「チェスのチャンピオンに、クロスワードの名人だと? 暗号解読に関係あるのか……?」

戸<コンコン

校長「お、時間丁度だな。入りたまえ」

校長「さて、その椅子にかけてくれるかな? まず君の名前を聞こうか」



彡(゚)(゚)「私の名前はアラン・チューリング。数学者です」




 

218名無しの歴史部員 2017/08/20(日)22:21:45 ID: ID:5XF

校長「ふむふむ、チューリング君はなかなかすごい業績を残しているようだね」

校長「ケンブリッジ大学のキングス・カレッジに入学し、22歳で特別研究員に選ばれる……」

校長「その後、渡米し、プリンストン大学にて、博士号を1年半で取得……か」

校長「普通は、取得に三年かかると聞いたがね……まさしく天才と呼ぶにふさわしいな」

彡(゚)(゚)「はえ~そうですか」

校長「……ああ、そうだと思うよ」

校長「さて、チューリング君、私達が君を招聘した理由はわかるだろう?」

彡(゚)(゚)「ドイツの難解な暗号に対抗するため、暗号解読者を集めていると……」

校長「その通りだ。ポーランドが数学者を起用していたことに倣い、イギリスも数学者を採用する方針を固めたそうだ」

校長「受けてくれるな?」

彡(゚)(゚)「まあ、受けるも何も、一年ほど前からこの暗号学校で働いてましたからね」

彡(゚)(゚)「場所が変わっただけですし、引き続き、ここブレッチリー・パークで解読に励みますわ」

校長「そうか、それなら『これからもよろしく』が正しいかな。ついてきなさい。ドイツの暗号機をお見せしよう」




220名無しの歴史部員 2017/08/20(日)22:24:17 ID: ID:5XF

校長「これが、暗号機エニグマだ」

彡(゚)(゚)「はえ~、こんな小さい箱があの暗号を……」

校長「ポーランドの暗号局はその暗号を解読したらしいがな」

彡(゚)(゚)「ファッ!?」

校長「大戦前に、その解読方法を英国に伝えてきたようだが、いやはや驚いた。ポーランドの解読技術は我々の10年先をいっていたのだ」

校長「だが、そのポーランドも今ではああなった……。これからは我々がエニグマを解読せねばならない」

彡(゚)(゚)「……お言葉ですが、そのポーランドが渡してきた解読法でええんちゃいますか?」

校長「もちろん、そうするつもりだ。だが、この解読法は、6文字暗号というシステムが使われているからこそ可能なのだ」

校長「ドイツが6文字暗号の弱点に気付いたら? このシステムは改変され、ポーランドの解読法は使えなくなるだろう」

校長「つまり、6文字暗号に依らない解読法が必要になる。それを見つけるのが君の仕事だ」

彡(゚)(゚)「ほーん。まあ何とかしてみます」




221名無しの歴史部員 2017/08/20(日)22:27:06 ID: ID:5XF

彡(゚)(゚)「あの後、解読法聞いてみたけど、ポーランドも上手くやったもんやなぁ」

彡(゚)(゚)「結局、物資と人手不足で断念か……。まあ、ボンブ60台用意すんのも、イギリスやったら楽勝やろ」

彡(゚)(゚)「とはいえ、安心はしてられんな。校長の言うとおり、いずれはボンブも使えなくなるやろうし」

彡(゚)(゚)「6文字暗号に依らない解読法……」

彡(゚)(゚)「要するに、暗号文から直接、平文にいたる何かを見出す方法ってことやな」




222名無しの歴史部員 2017/08/20(日)22:30:21 ID: ID:5XF

――


彡;(゚)(゚)「ぜえ……ぜえ……」コギコギ


彼の一日は、自宅からB.Pまでの5kmの道を自転車で踏破することから始まる


彡;(゚)(゚)「ぜえ……やっとついたで」



彡(゚)(゚)「さて、今日も、解読法を考えなあかんな」

彡(゚)(゚)「ん? これまでに解読された暗号が溜まっとるやんけ! 解析したろ!」

彡(゚)(゚)「えーと、これはX月X日6時5分『今日の天気は晴れ、……』。気象観測所からのメッセージやな」

彡(゚)(゚)「お、これも気象観測所のやつや。Y月Y日6時5分『今日の天気は晴れ、……』」

彡(゚)(゚)「これもやんけ! Z月Z日6時5分『天気は……』」

彡(゚)(゚)「はえー、気象観測所は6時5分に天気予報を通知するんやな」

彡(゚)(゚)「……」

彡(゚)(゚)「『天気』?」

彡(゚)(゚)「ドイツ語やと……えっと『wetter』やな」

彡(゚)(゚)「なんや、これはつまり……」

彡(゚)(゚)「気象観測所が6時5分に出す暗号文には、必ず『wetter』が入ってるってことちゃうんか?」




223名無しの歴史部員 2017/08/20(日)22:33:41 ID: ID:5XF

( ゚∀゚)「チューリング? どうした」

彡(゚)(゚)「ヒューか。いや、『wetter』が必ず含まれる文があるって話なんやけど……」


( ゚∀゚) ヒュー・アレグザンダー 英国のチェスチャンピオン チューリングと同じ第八兵舎の解読員


( ゚∀゚)「ほうほう、そいつは興味深い。解読された暗号文を詳しく調べてみようか」

彡(゚)(゚)「ふむふむ……」

彡(゚)(゚)「ほとんどの文書に入っとるのは『EINS』(英語でいうa,an)やな。」

( ゚∀゚)「『FORT』(前の文と続く)なんかも頻度が高いぜ」

彡(゚)(゚)「『WEWA』(wetter warte=気象観測所)とかもよく出る単語やな」



こうした、暗号文中に高い確率で含まれる単語や決まり文句を『クリブ』と呼ぶ
クリブはエニグマ解読への重要な足がかりとなるもので、戦争が進むにつれ、より洗練されたクリブが生み出されていく




224名無しの歴史部員 2017/08/20(日)22:36:29 ID: ID:5XF

しばらくして……


( ゚∀゚)「ククク……あれから解読員が全力でクリブを探してやがるぜ」

( ゚∀゚)「しかし、笑えるのが『Heil Hitler』(ヒトラー万歳)っていうクリブだな。忠誠心が仇になってんじゃねえか」

( ゚∀゚)「もっとも、これらが暗号文のどこに入るのかわからなければ、意味が無いんだがな」

彡(。)(。)「その通りや。『wetter』みたいな位置が確定しとるクリブもあるけど、全てのクリブがそうというわけやない」

彡(゚)(゚)「100%特定……とまではいかずとも、いくらか候補を除外できる方法があればええんやけどな」




225名無しの歴史部員 2017/08/20(日)22:39:45 ID: ID:5XF

開戦からの1ヶ月は、いかなる解読法をもってしてもエニグマを解読することが出来なかった


彡;(。)(゚)「あかん! どないすればええんや!」

(;゚∀゚)「もしかして、新しいローターを追加しやがったか……?」

彡;(゚)(゚)「……ポーランドの解読者らは今どこに居るんや?」

( ゚∀゚)「確か、パリに亡命中だとか何とか……」

彡(`)(´)「もう我慢ならんわ! ワイは会いにいくで!」

(;゚∀゚)「へ!? もしかして、彼らにか?」

彡(゚)(゚)「ああ、そんで助言を貰うんや。解読のヒントがあるかもわからんしな」

チューリングと数人の解読者は、知識の補填、問題解決のため、パリへ渡った




226名無しの歴史部員 2017/08/20(日)22:42:29 ID: ID:5XF

1940年 1月

彡(゚)(゚)「こんにちは、ポーランドの解読者の方々ですね。ブレッチリー・パークより来ました、アラン・チューリングです」

(*^◯^*)「こんにちは……マリアン・レイェフスキです」

(●△●)「ヘンリク・ジガルスキです」

(*^◯^*)(この人が、僕たちを継ぐ解読者……。でも、数学者といっても、暗号に関しては初心者なんだろうなぁ)

彡(゚)(゚)「ほんで――というところに困ってまして……」

(*^◯^*)「それなら――ということで……」

(●△●)「僕らは他にも――といった方法で……」

彡(゚)(゚)「はえ~なるほど。そういう方法もあるんですなぁ」

(*^◯^*)(もう理解したのか……早いんだ)

(●△●)(エニグマに対して、深い知識を持っているなぁ)



(*^◯^*)(この人達になら……)

(●△●)(託せるかもしれないね……)




227名無しの歴史部員 2017/08/20(日)22:45:17 ID: ID:5XF

そして、解読が進まなかった原因だが、実に単純なことだった


(;*^◯^*)「……」

彡(゚)(゚)「ん? どないしはったんですか?」

(;*^◯^*)「僕たちがイギリスに渡したローター4,5の情報なんだけど……」

(;*^◯^*)「そこに間違いがあったみたいなんだ」

彡(゚)(゚)

(;*^◯^*)「いや……まあ、人間、間違いはあるってことで……許してほしいんだ」

(;*^◯^*)「ホントにもう……笑えちまうんだ。アッハッハ……」

彡;(^)(^)「そ、そうやな、間違いくらいあるわな! アッハッハ……」

(*^◯^*)「「アッハッハッハ……」」彡(^)(^)




228名無しの歴史部員 2017/08/20(日)22:46:07 ID: ID:mTR

なにわろてんねん




229名無しの歴史部員 2017/08/20(日)22:48:42 ID: ID:5XF

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| ∥          (゚)(゚)ミ -_死にさらせ!腐れポーランド人が!
| ∥ グチャァァッ!!  つ  ミ  ─_____ ___
|  从ノ    (ミ_(⌒\ ヽ _ ___
( (≡ ̄ ̄ ̄ ̄三\ ⌒ノ ノ)
|(つWつ  ̄ ̄\  ⌒彡)   ノ =_
| \つ-つ     \,__,ノ ノ
|  | )       / / ≡=
|  |       / ノ      ____
|  |        /ノ _─ (´⌒(´
|  |        ミ/= (´⌒(´⌒;;
| ''''""'''"'''"""''"""'''''"'"''''""''"''''"""''"''"''"'''"''''''''"''"()


1月17日 この滞在中にエニグマを解読
戦時に送信された暗号を解いたのは、これが最初となる




230名無しの歴史部員 2017/08/20(日)22:51:18 ID: ID:5XF

彡(゚)(゚) カチャカチャ

帰国後、チューリングはあるマシンの開発に取り掛かる
パリ滞在のときにはすでに、そのマシンのシステムを考案していた

以前に、クリブからの解読法を編み出していたが、それも限界に近いからだ


~~~~~~~~


彡(゚)(゚)「……」

彡(゚)(゚) 

彡(゚)(゚)「そういえば、エニグマって同じ文字に換字せえへんよな」

( ゚∀゚)「?」

彡(゚)(゚)「言葉足らずやったな。『A』を打ち込んだら、絶対『A』に換字されへんやろ?」

( ゚∀゚)「ああ、そういうことか。そうだな、換字前の文字と換字後の文字が一致することは絶対にねえ」

彡(゚)(゚)「……」


自己換字不可性――これは、エニグマ暗号機の構造からくる致命的な弱点だった




232名無しの歴史部員 2017/08/20(日)22:58:07 ID: ID:imS

欠点になるんすねー




233名無しの歴史部員 2017/08/20(日)22:58:22 ID: ID:5XF

彡(゚)(゚)「この性質を使えば、かなりの候補を除外できると思うで」

( ゚∀゚)「……換字先の候補が26通りから25通りに減っただけだろ? どうやってだ」

彡(゚)(゚)「『ZUSTANDOSTWAERTIGERKANAL』(東海峡の状況は)という、24文字のクリブを使って説明するで」

彡(゚)(゚)「例えば、下の暗号文のどっかが、このクリブの変換された箇所やとするやろ?」

※画像に誤字 平文→クリブ



彡(゚)(゚)「この時、暗号文の最初の24文字がクリブと対応してることはない。なんでか分かるか?」

( ゚∀゚)「……わかんねーな」

彡(゚)(゚)「『W』の位置で衝突しとるからや。W→Wと変換されることはないんやから、この位置にクリブが来ることはありえへん」








234名無しの歴史部員 2017/08/20(日)23:01:48 ID: ID:5XF

彡(゚)(゚)「次に、クリブを1字ずらして、同じように検証する」



彡(゚)(゚)「さて、2~25文字目がこのクリブと対応しているかどうか……」

( ゚∀゚)「……対応してねえな。『O』で衝突している」



( ゚∀゚)「つまり、ここにクリブが位置することもねえわけか」

彡(^)(^)「その通りや。これを繰り返して、どの文字とも衝突せん箇所が、クリブの位置候補というわけやな」

彡(゚)(゚)「この方法は、クリブが長いほど効果があるで。間違った位置で検証したとき、衝突する確率が高いしな」

( ゚∀゚)「ほう……これは使えるな。大方の位置が分かるときの絞り込みに使えばいいのか」


この方法で、暗号文とクリブの位置関係を明確にし、エニグマをいじって設定を特定する……
ローターをぐるぐると回していることからだろう。この解読法は『ぐるぐる回し(twidding)』と呼ばれた


~~~~~~~



彡(゚)(゚)(ぐるぐる回しは、最初こそ解読できてたんやが、あんま成果が上がらんようになってもうたからなぁ) キューンキューン

彡(゚)(゚)「この解読マシンでなんとかせなあかんな」ガガガガガ




235名無しの歴史部員 2017/08/20(日)23:06:40 ID: ID:5XF

彡(゚)(゚)「よっしゃ、できたで! みんな、見てくれや!」

( ゚∀゚)「お、とうとう出来たのか。例のマシンが」

(☆…●)「さて……どんなものか見せてもらおうか」



(☆…●) ゴードン・ウェルシュマン ケンブリッジ大学の天才数学者




彡(゚)(゚)「ワイの魂を込めたマシン、見て驚けや!」

彼がお披露目したそれこそ、エニグマ解読の大きな前進へ繋がるマシン

『ボンベ』であった






236名無しの歴史部員 2017/08/20(日)23:09:22 ID: ID:imS

デカァイ!




237名無しの歴史部員 2017/08/20(日)23:10:11 ID: ID:5XF

ほな今日はここまでや



※第八兵舎は、1940年にチューリングが作り上げた海軍のエニグマ機を解読するチームである
厳密に言うと>>223の時点では第六兵舎にいるが、ここらへんは略す




238名無しの歴史部員 2017/08/20(日)23:10:49 ID: ID:imS

乙、今日もおもろかったで




引用元:彡(゚)(゚)「エニグマ解読……?」