uta_yomu_man (2)


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名無しの歴史部員 2021/02/19(金)18:02:58.63 ID: HjoWqI+y0.net

1 心あてにそれかとぞ見る白露の光添へたる夕顔の花(夕顔)
2 空蝉のはに置く露の木隠れて忍び忍びに濡るる袖かな(空蝉)
3 袖ぬるるこひじとかつは知りながら下り立つ田子のみづからぞうき(六条御息所)
4 限りとて別るる道の悲しきにいかまほしきは命なりけり(桐壺更衣) 
5 唐人の袖ふることは遠けれど立ち居につけてあはれとは見き (藤壺中宮)
6 数ならでなにはのこともかひなきになどみをつくし思ひそめけむ(明石の君)
7 女郎花しほるる野辺を何処とて一夜ばかりの宿を借りけむ(一条御息所)
8 昇りにし峰の煙に立ち混じり思はぬ方に靡かずもがな(朱雀院女二宮【落葉の宮】)
9 大かたのあきをば憂しと知りにしをふり捨てがたき鈴虫の声(朱雀院女三宮)




 

2名無しの歴史部員 2021/02/19(金)18:03:09.61 ID: HjoWqI+y0.net

※和歌の中に掛詞が使われている場合、
両方の意味がわかるよう意図的に平仮名にしているゾ※
※和歌の意味をじっくり味わえるよう、
歌の中では歌われていない部分もめうが適当に補足しているゾ※




3名無しの歴史部員 2021/02/19(金)18:03:20.76 ID: HjoWqI+y0.net

1 心あてにそれかとぞ見る白露の光添へたる夕顔の花(夕顔)

当て推量ではございますが、それとお見受けいたしますわ。
みすぼらしい家の垣根に咲く夕顔の花が、
白露のように清らかで美しい光を添えられて、
光り輝いて立派な花のように見えております。
このような事が起こるのですもの、
さては貴男様、当代きっての貴公子と名高い源氏の君ではございませんこと?

源氏の父方の従兄兼義兄(正妻葵の上の兄)兼好敵手の頭中将の元カノで、
頭中将の正妻からモラハラを受け、
京の下町の乳母の家に身を寄せていた夕顔という女性が、
乳母(惟光の母)の見舞いにそこを訪れた源氏を見かけて、
「あら源氏の君だわ素敵!せっかくだから誘ってみましょ!」と詠んだ歌ゾね
夕顔は、両親とは早くに死別したが、
三位中将だった父とその北の方だった母の娘なので出自は悪くなく、
貴族の女性としてきちんとした教育も受けていて、
この歌はそんな彼女の知性とセンスとユーモア、
そして妖艶さと色っぽさをも感じさせる秀歌ゾね
ちなみにこの歌の元ネタ(本歌)は、ご存じ子規にくそみそにけなされた
躬恒の「心あてに折らばや折らむ(ry」ゾね
さりげなく古歌を引用し自分の個性も添える夕顔、
夕顔以外の魅力的な女性ともたくさん付き合った源氏が、
(思わぬ死別によって美化されているとはいえ)その死後も彼女の事をずっと忘れられなかったのもむべなるかな、ゾね……




4名無しの歴史部員 2021/02/19(金)18:03:32.80 ID: HjoWqI+y0.net

2 空蝉のはに置く露の木隠れて忍び忍びに濡るる袖かな(空蝉)

蝉の抜け殻の羽に降りる露が、風に舞い落ちる葉のように、
大木に隠れて人目には見えぬように、
わたくしは人に知られることなく、涙で袖を濡らしております事よ。

従兄や遊び仲間から「上臈の女性は、前評判だけ高くて、
いざ付き合ってみると面白みがない事が多いものです。
さりとて下臈と付き合うのは得体が知れないし、
そんな人と付き合ったらこちらの評判がガタ落ちしてしまいます。
ほどほどに身分が良く、且つ良い教育を受けて嗜みを備えた中流階級の女性がやっぱりナンバーワン!」
(こ↑こ↓は自身中流貴族の出だった紫式部姉貴の
「私たちこそ本当に交際し甲斐のあるいい女なのよ!私たちを見て!」という
太すぎる承認欲求が見える見える……)
と吹き込まれた源氏が、よし、じゃあ(自分も中流の女性に)ぶち込んでやるぜ!
と、ちょっかいをかけたのが、
中納言の娘でありながら、両親を亡くし幼い弟を助ける為に愛媛県知事の後妻となった空蝉ゾね
人妻の矜持を捨てず、源氏の事を振った空蝉も、
内心は源氏に惹かれており、その思いを断ち切りがたかった、
そんな空蝉が可哀想でもののあはれを感じますよ〜カンディル……カンディル……
ちなみに、「上臈は前評判だけで実物はつまらない」という一文は、
紫の上という非の打ちどころのない妻を持ちながら、
藤壺の縁者と聞いて我を忘れ、その姪である朱雀院女三宮を正室に迎えながら、
紫の上と違って出来の悪い女三宮に源氏が幻滅するシーンの伏線となっているゾね




6名無しの歴史部員 2021/02/19(金)18:03:49.97 ID: HjoWqI+y0.net

3 袖ぬるるこひじとかつは知りながら下り立つ田子のみづからぞうき(六条御息所)

袖を汚す泥のように、その中に入ってゆけば泥沼にはまってゆくだけの恋の道であることは、
わたくしは一方では(理性では)理解しておりますが、
しかし、農夫が水を張った水田に降り立ち、浮き沈みしながら農作業をするように、
自らの意志でその泥沼に沈みゆくわたくしが、悲しくも情けない事でございます。

大臣の娘で元皇太子妃、
実家の財政も太く、達筆で源氏が感心するほどの歌詠み、音楽の心得もあり、
源氏に「お話をするなら六条さまが一番楽しい」と言わしめ、
(桐壺更衣と藤壺中宮と紫の上を除けば)
ほんへで最も優れた女性として描写されている六条御息所、
源氏からは「難攻不落の女性ほど落とすのに燃えるけど、いざ攻略すると飽きるンだわ。
ワイ重い人苦手やし、ワイの理想はやっぱり輝く日(妃)の宮(藤壺中宮)様なんや……」と
ぞんざいに扱われてしまう、クッソ哀れな女性ゾね
この和歌はそんなクッソ哀れな大貴族の女性の悲しみを技巧を尽くして歌った歌ゾね
この和歌、本当は4番を打てる逸材なのだが、
めうは桐壺更衣姉貴至上主義者
(桐壺更衣には、出家して法師になった兄はいるが
弟妹はいないので実はエルメェス兄貴と同じく妹キャラ)
なので、惜しくもスペードのエースは源氏の母上に譲ったゾね……
ARMSの高槻美沙然り、クロノトリガーのジナ然り、
シャドウハーツ2のカレン然り、
主人公の母より強いキャラなんてそういないから、ま、多少はね?




7名無しの歴史部員 2021/02/19(金)18:04:02.69 ID: HjoWqI+y0.net

4 限りとて別るる道の悲しきにいかまほしきは命なりけり(桐壺更衣)

これを最後として、貴男様と別れてゆく死出の道が悲しいばかりに、
わたくしが行きたいのは、その死出の道ではなく、
貴男様と共に生きる命の道、生の道でございますのに。

生と行がかかっているとはいえ、
3番ほど技巧の限りを尽くした歌ではないが、
桐壺であっさり物語から退場しながら、
最初から最後まで源氏物語を支配する桐壺更衣姉貴のただ一首の和歌であり、
源氏ほんへで最初に登場し、読者兄貴姉貴たちに最も強い印象を与える歌だから、
4番に置いたのもま、多少はね?
「私たちは死ぬ時も一緒だと約束したではありませんか、
私を置いて実家に帰ることはできますまい、
どうか逝かないでおくれ、死ぬなら私の腕の中で逝っておくれ」と泣き崩れる桐壺帝を前にして、
「女もいといみじと、見奉りて(女もたいそう悲しい事だと男を見申し上げて)」と、
帝と更衣という身分の差を越えて愛し合う番の男女として相対するこのシーン、
そのあもりにも素晴らしすぐるもののあはれぶり、お前の事が好きだったんだよ!(大胆な告白は女の子の特権)
ちなみにこの和歌、シュー……ベルトが作曲した事で知られるMUR(ヴィルヘルム・ミュラー)の冬の旅にも
そっくり同じ一文が出てきて、人間の感性は東西を越えて相通じる、
そういう意味でもめうの琴線に触れる曲ゾね




8名無しの歴史部員 2021/02/19(金)18:04:15.59 ID: HjoWqI+y0.net

5 唐人の袖ふることは遠けれど立ち居につけてあはれとは見き (藤壺中宮)

古代のもろこしの舞楽である青海波は、
遥か昔の異国の文化で、ものを知らぬわたくしはよう存じあげませなんだが、
今日素晴らしくその踊りを舞われた、貴男様の立ち居振る舞いを見るにつけても、
しみじみと感じ入る事でございます。

源氏の理想の女性、しかし父帝の妃であり、
決して源氏が手に入れる事はかなわぬ女性、
源氏本人をして「何故この方には欠点が一つもないのだろう。
この方があもりにも素晴らしい女性だから、
私が二度も禁忌を犯してまで契りを交わしてしまうのだ(愛の無責任男)」
と言わしめる程完璧な女性である藤壺中宮が詠む歌、
この一首で彼女もまた桐壺帝ではなく、源氏を愛していたことが分かる重要な歌ゾね
このシーン、映像にしたら大変美しいだろうに、
残念ながらめうを満足させるようなヴィジュアライズはなされておらず、
めうが源氏の理想の映像化作品として愛して已まぬあさきゆめみしでさえ、
このシーンは軽く流されている事におっぱい(悲しみ)感じちゃう!
こんなに重要なシーンなのに……




9名無しの歴史部員 2021/02/19(金)18:04:28.41 ID: HjoWqI+y0.net

6 数ならでなにはのこともかひなきになどみをつくし思ひそめけむ(明石の君)

源氏の君の素晴らしい奥方様方の中にあって、
ものの数にも入らぬほど身分が低くつまらぬわたくしですのに、
海上の標識となる杭を立てるための櫂を失った難波の海人ではございませんが、
わたくしはそのように甲斐のない身ですのに、
何ゆえに、わたくしは命をかけて貴男さまを愛してしまったのでしょうか?

めうは明石の君は身分以外の全てが完璧なのと、
作中で美味しすぎる役回りを与えられているために
そんなにすこな登場人物ではないけれど、
源氏が「六条御息所様にそっくりだ」と褒めるだけあって、
身分以外は非の打ちどころのない立派な女性として描かれているゾね
身分違いの恋に悩むこの切ない歌からも、伊号から来るソナー(明石の君の教養と魅力と物悲しさ)めっちゃ感じるよ!
明石の君は源氏の一人娘(のちの明石中宮)を産んだことで、
源氏との太い絆ができて、若い頃の苦労が報われてよかったなとおもいました(こなみかん)




10名無しの歴史部員 2021/02/19(金)18:04:40.60 ID: HjoWqI+y0.net

7 女郎花萎るる野辺を何処とて一夜ばかりの宿を借りけむ(一条御息所)

夫を亡くしてうなだれている、
しおれた女郎花の花のように、
かよわく世間慣れしておらぬ内親王たる娘を一体どなただと思われて、
野辺に咲く女郎花の花のように、
その娘が住む小野の山荘を一体どういうところだとお思いになって、
貴男さまは女郎花(娘)を手折ったのですか、
一晩限りの妻と軽んじ、まるで娼婦のようにぞんざいに扱ったのですか。
せめて貴男さまが娘を妻として迎えてくださるのならば、
わたくしも貴男様と娘の交際を認めましたのに。

同じ御息所(尤も、皇太子妃を指す場合と、
天皇との間に子供をもうけた身分の低いキサキを指す場合とでは微妙にニュアンスが異なるが)ながら、
貴婦人として源氏と葵上の使用人以外の登場人物からは重く扱われた六条御息所とは異なり、
一条御息所は受領階級の出自(彼女の甥が奈良県知事)であり、
それゆえに彼女の一人娘である朱雀院女二宮ともども、
作中では軽んじられるクッソ哀れな登場人物ゾね
(のちのち勘違いであった事は分かるものの)この和歌からも、
内親王で未亡人である娘をおもちゃのように扱われ、
前からも後ろからも(娘を辱められた母の屈辱と怒り)感じるよ!




11名無しの歴史部員 2021/02/19(金)18:04:54.51 ID: exxB2mIT0.net

これは伸びへんやろ




12名無しの歴史部員 2021/02/19(金)18:04:55.32 ID: HjoWqI+y0.net

8 昇りにし峰の煙に立ち混じり思はぬ方に靡かずもがな(朱雀院女二宮【落葉の宮】)

(事情がない限り独身を貫くのが慣例の)内親王でありながら、
臣下に嫁ぎ、最初の夫からは愛されなかった上に死別し、
今再び、男性によって屈辱を与えられた自分があまりにもみじめで辛く、
もはや(空にのぼっていった母上の亡骸の煙と一緒になって)死にとうございます。
わたくしが山峰からたちのぼる煙であったならば、
愛してもおらぬ方の方角へとは靡かぬものを。

内親王という女性として最も尊い身分ながら、
身分の低い更衣から生まれたために周囲からぞんざいに扱われる、
源氏ほんへ屈指のクッソ哀れな登場人物、それが朱雀院女二宮ゾね
(※落葉の宮は柏木による蔑称なのでめうは使いません)
子供の頃のめうは彼女の魅力には全く気付かなかったけれど、
今読むと母親譲りの女性としての嗜みを備えているうえに、
(ほんへでは)徹頭徹尾男に翻弄される哀れな女として悲劇的に書かれていていいじゃんアゼルバイジャン……
こういうの見ると(同性なのに)恋煩いしちゃうよ〜(77歳並感)
※めうは同性愛者ではありません、これだけははっきりと真実を伝えたかった。




13名無しの歴史部員 2021/02/19(金)18:05:06.04 ID: exxB2mIT0.net

評価はするけど




14名無しの歴史部員 2021/02/19(金)18:05:17.11 ID: HjoWqI+y0.net

9 大かたのあきをば憂しと知りにしをふり捨てがたき鈴虫の声(朱雀院女三宮)

六条院(源氏)様はわたくしには興味をなくされてしまって、
やってくる秋はいつも辛いものと分かってはおりましたが、
それでも昔の事と打ち捨ててしまうのが難しい、
あまりにも魅力的な鈴虫の声です。
わたくしはまだ六条院さまをお慕いしております。

朱雀院女三宮もまた、異母姉である朱雀院女二宮と同じように男の欲望の犠牲となったのだ……
本人が望んでいないのに男たちに振り回された、クッソ哀れな登場人物ゾね
以前立てたスレではめうは女三宮の歌を拙い歌の例に挙げていたが、
薫を産んで出家した後は、こういう趣深い歌も詠んでいて、
藤壺然り、明石の君然り、明石中宮然り、母となったキャラは強いんやなって……
多分ここら辺は若い身空で幼い子供を抱え、未亡人となった
作者姉貴の実体験が反映されているんやろうなって……




16名無しの歴史部員 2021/02/19(金)18:06:08.43 ID: 6BgYuCfaM.net

やっぱイケメンは正義やな




引用元:源氏物語の女性たちが詠んだ和歌で打線組んだ